2007-03-29
弥助って
三月の千秋楽から3日。
そろそろまとめておかないとまたすぐ四月が幕を開けちゃう。
今月の時蔵さんは「弥助実は維盛」。
私にとって時蔵さんの立役を拝見するのは
昨年十月の『髪結新三』の「手代忠七」についで2つ目。
忠七の場合は普通に立役としてなりたつお役。
二枚目で、新三に傷めつけられる場面があるから
女形さんの役者さんがやることも多いのかな
でも決してなよっちいやつではない。並の男。
だから時蔵さんの持つ男らしいところがいい具合に匂いたち
とてもいい男さんだった。
今回の『すし屋』の登場時は弥助。
空桶さえも持て余す非力な♪やさおのこ〜♪なのである。
衣紋も抜いている。多分、体の動かし方も女形のそれに近いと思う。
でも男なのだ。つむりを剃った青二才だ。
ここが難しいところ(私にとって・・よ)
他の役者さんのやる弥助よりも凛々しくてよかったという感想をいくつか読んだ。
実はわたしは『すし屋』は初見なので他の人の弥助を知らないが
普通はもっと線の細い、つっころばしともいえるような役なのだろうか?
が、時蔵さんは弥助でも男らしい線を浮かび上がらせている。
先日もちょっと書いたけど「硬派」な香りがする。
これが凛々しいと思わせる理由かと・・・・
が(くどい?)体の動きは女形に極めて近かった・・・ね?
こうなると私の脳は時蔵さんを前にちょっとしたパニック。
女(女形)なの?男なの?
絶対的に“素敵”という判断は変わらないのだけど(笑)
この時蔵さんを捕らえる目線の焦点をどっちにあわせればいいのかわからなくなるのだ。
そしてこのパニックを起した私を置去りにしたまま時蔵さんは
‘まず、ま〜ず〜’で維盛に変わっていく。
変わる時ははっきりとわかるようにやられていた。
目つきもいつもの女形の時に近い伏せた視線から、キリッとしたものに、
背中の筋もピンと伸びて、歩き方も変わった。
そうなると動きも立役のそれとなり品格ある三位中維盛が出来上がる。
仁左衛門さんの作り上げる上方の匂いたっぷりの『すし屋』の中で
恩ある弥左衛門一家、権太達にも情をかける情け厚い三位中将の姿が完成していった。
素敵な維盛だったと思う。
だが、置去りにされたままの私は
ちょっとどうに感動したらいいのかわからないままの
欲求不満が残ったままの時もあったりしたかもしれない・・


